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台湾鉄路千公里 宮脇俊三著(11) [台湾鉄路千公里 宮脇俊三著]

台北~花蓮 その1

北部最大の港町基隆を起点に南部の高雄までを結ぶ西部幹線。台湾鉄路局の最大の幹線で様々な列車が数多く運転されている。台北駅からこの線に乗ると南、台中、高雄方面へ向かった場合と、北、基隆方面へ向かった場合その風景が異なる様に思う。南が山陽地方、北が山陰地方の様な雰囲気になる。基隆は雨の多い街だ。JTBのワールドガイド台湾'03年版には「弁当忘れても傘忘れるな」といわれると書かれている。これは日本でもいわれることわざだ。兵庫県北部の町豊岡市にもこういう言葉があるらしい。この雨の多い気候が山陰地方のような雰囲気を醸し出しているのだろうか。

瑞芳からの深澳線に乗ろうとした宮脇氏は時刻表上の終点、濂洞までの切符を買おうとして出札係と少し言葉のやりとりをする。工事のため一駅手前の海濱までしか列車が運転されていなかったためだ。僕が瑞芳を訪れた1991年すでに深澳線は無かった。「表口より活気がある」裏口から出る深澳線、「鶏小屋のような切符売り場」で一度切符を買ってみたかった。

僕が瑞芳で下りたのは平渓線に乗るためである。この駅で切符を買うときにちょっといいことがあった。宮脇氏の旅行した1980年平渓線はすべて侯[石同]駅から出発していたようだが、僕が訪れた1991年半数以上の列車が瑞芳始発になっていた。現在ではほとんどの列車が瑞芳までやってきて、何本かは八堵まで直通している。瑞芳はこの辺りでは一番賑やかな所のようだし、八堵まで行けば台北に向かうのも便利だ。平渓線沿線や近くの九[イ分]が観光ブームになっていることもあるのだろうが、ローカル線を活性化させようとする試みは嬉しい。

宮脇氏は平渓線の車内で「再見(ツアイチェン)」と言った青年に「私の言葉の誤りを正すような」調子で「再会(ツアイホエイ)」といわれ、「謎をかけられたような気持ちがし、それが胸にひっかかった。」と書いている。その青年の言葉の意味がなんだったのかもちろん僕にはわからない。ただ、台湾を旅行中、言葉では苦労していたように見える宮脇氏がその「謎」を感じていること。この本を読んで台湾に興味を持って、この本を書いた時点の宮脇氏よりは長い日数台湾旅行をして、いまだにこの本が新鮮さを持って読めるのはそう言う宮脇氏の感性が、読むたびに違う思いを抱かせてくれるせいかもしれない。
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